韓国紙・中央日報は5日、北朝鮮の金正恩党委員長とその健康管理に関わっていた北朝鮮の要人が日本に亡命を求めたと、消息筋の話として報じている。

「処刑の嵐」と体重変化

核兵器やミサイル開発で国際社会に妥協を見せようとしない正恩氏だが、ストレスや太りすぎによる健康不安を抱えていることは、韓国の情報機関も報告している。朝鮮半島情勢を左右しかねない問題だけに、報道の真偽に注目が集まりそうだ。

中央日報によれば、件の幹部A氏は、烽火診療所、南山病院、赤十字病院を管轄する保健省1局の出身。北京の北朝鮮代表部に駐在していたが、9月28日に日本大使館側と接触し、妻と娘を連れて日本へ亡命する意思を伝えたという。ただ、亡命先を巡っては現在、韓国と日本で「綱引き」を繰り広げている模様だ。

韓国ではなく日本行きを望むのは、「日本に親戚がいるため」とされており、1950年代からの「帰国運動」で北朝鮮へ渡った、元在日朝鮮人の家系の出なのかもしれない。

A氏はこれまで、正恩氏の健康とかかわる医薬品や医療機器の調達を担当してきたという。ならば、正恩氏の健康状態についてもかなりの分析材料を得ている可能性が高い。

韓国の国家情報院(国情院)は7月1日、韓国国会で開かれた情報委員会の懸案報告で正恩氏の体重が130キロと見られるとの分析を示した。

国情院によれば、金正恩氏の体重は「2012年に初めて登場したときは90キロだったが、2014年には120キロに、そして最近では130キロまで増えたと推定される」という。

独裁者として贅を尽くしていることが肥満の原因とも思われるが、それにしても、あまりの変化だ。

気になるのは、正恩氏が公開処刑の嵐を始めた時期と、急激に肥満度が高まる時期が一致する点だ。恐怖政治を激化させる中で、なんらかの猜疑心やストレス、プレッシャーにさい悩まされたことが極度の肥満をもたらした可能性は充分にある。

国情院も、不眠症や身辺の脅威のために暴飲暴食に走り、成人病にかかっている可能性を指摘した。トイレひとつとっても、普通の人と同じ生活ができない不便さも影響していると思われる。

さらには核・ミサイル問題とからみ、「米国から狙われている」との思いからくる緊張もあるだろう。

しかしそもそも、それらは自分のまいた種だ。正恩氏は自分の身の安全と健康、北東アジアの平和と安全がつながっていることを、早く理解した方が良い。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記

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