支援物資が供給されると、軍人たちを対象に政治教育を行い、人道的な支援物資ではなく「金正日将軍様の配慮で米の供給があった。社会主義を圧殺しようとする米国とその追従勢力が将軍様の胆力と気迫を前に、謝罪の意味で捧げる物資である」とウソの宣伝を行った。
当時、軍人たちのほとんどは、外部世界との接触が遮断されていたため、国内外の全般的な社会状況を全く把握できていない状態だった。このため、宣伝をそのまま信じ込み「わが将軍様はさすがだ。敵が食糧を送ってくるほど強いのだ」と兵士同士で言い合ったことが思い出される。
助けたいのが人情だが…
このように、北朝鮮当局は外国からの人道支援であるという事実自体を隠そうとした。だが、軍に供給された援助米が、さらに横流しされ民間の市場で流通する中、「大韓民国の米」であることが知られたのだった。