一方、動員の成果か、9月19日には咸鏡北道の幹線区間の一つである、会寧市~清津(チョンジン)市間を結ぶ道路と鉄道が復旧されたとS氏は明かす。北朝鮮メディアが「建国以来最大の大災害」と称した水害も、非常に遅い足取りではあるが、少しずつ収拾に向かっているようだ。
ただ、今回の噂からは、現地の住民が自国の金正恩政権の無力さをあらためて感じ取ったことが十分に読み取れる。核とミサイルを優先した政権のツケは今後、ボディーブローのように効いてくるものと思われる。
(参考記事:死者数百人の事故が多発する北朝鮮の「阿鼻叫喚列車」)高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。
