先述したように、金正恩政権は売春を厳しく取り締まっている。2014年には恵山(ヘサン)市で売春を斡旋した男性2人が公開銃殺されている他に、強制収容所送りなどの厳罰も辞さない構えで臨んでいる。だが、国家が住民の生活を優先視せず、今のように核やミサイル、一部の権力者のぜいたくのために予算を使う限り、売春業が拡大こそすれ沈静化することはまず無いと見てよいだろう。
(参考記事:【動画:単独入手】 北朝鮮で「生計型売春」が増加)売春業の盛行は、北朝鮮という国家が抱える問題点を克明にあらわしている。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。