もしかしたら政治家たちは、「米国が何とかするだろう」と考えているのかも知れない。たしかに、米国は北朝鮮の暴走をいつまでも放っては置けないだろう。だが、そこで米国の起こす行動が、日本の国益にかなうとは限らない。
7月、米国は正恩氏ら北朝鮮の指導部を制裁指定した。北朝鮮国内における人権侵害の責任を問うてのことだ。これは、北朝鮮が政治犯収容所を閉鎖し、国民に対する公開処刑などの虐待を止めなければ、米朝関係の改善が実現しないことを意味する。
しかし、恐怖政治に依存して体制を維持している正恩氏に、人権侵害を止められる訳がない。
(参考記事:謎に包まれた北朝鮮「公開処刑」の実態…元執行人が証言「死刑囚は鬼の形相で息絶えた」)つまり金正恩体制が続く限り、米朝関係の改善はない。ということは、日朝関係の改善もあり得ない。米国が人権問題で北朝鮮に制裁を続けているのを横目に、「我が国には関係ない」と言って、日本が独自に北朝鮮を経済支援することなど考えられない。
ということは、北朝鮮としてはこれ以上、日本と交渉しても何のうま味もないということになる。