90年代後半の大飢饉「苦難の行軍」で配給システムが崩壊した中で子ども時代を過ごしたチャンマダン世代は、国や指導者は何の役にも立たず、むしろ自分たちのやりたいことの邪魔をする「目の上のたんこぶ」程度に考えていると言われている。
また、外国映画や韓流ドラマを通じて、北朝鮮の外の世界を知っている。若者たちは、決して視聴してはならない韓流ドラマをこっそり見ながら、韓国社会にあこがれを持つ。韓流ドラマのファイルを所有していると、最悪の場合、命を落とす危険があるにもかかわらずだ。
(参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…)金正恩氏が、いくら処刑で体制を引き締め、23年ぶりの大会で若者たちに忠誠心を持たせようとしても無駄だろう。それは、増加する脱北者、そしてテ・ヨンホ駐英公使に代表されるエリート層の相次ぐ亡命が物語っている。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。