職を失っただけではなく、韓国から工業団地を経て流入していた様々な文物が入ってこなくなり、開城市民の不満が溜まっていたからだ。高収入の仕事を斡旋するとことで、鎮静化しようとの意図があったものと思われる。
通常、海外派遣労働者は健康診断に加え、本人の思想に問題はないか、家族や親戚に問題のある人間はいないかなどを調べるために、職能団体など政治組織が発行する「推薦書」や、地域担当の保安員(警察官)、保衛員(秘密警察)が作成する「思想動向保証書」などで書類審査を行う。
開城工団の韓国企業に派遣されていた人々は、すでにこのような手順を踏んでいるため、改めて審査を行う必要がない。また、資本主義の仕組みにもある程度慣れているため、海外に出てショックを受けて思想的に動揺する心配も少ない。
しかし、北朝鮮の労働者の海外派遣に対する国際社会の風当たりは徐々に強くなりつつある。