北朝鮮は24日午前5時30分頃、東部の咸鏡南道(ハムギョンナムド)新浦(シンポ)付近の海上から日本海に向けて潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)1発を発射した。韓国軍合同参謀本部によると、ミサイルは約500キロ飛び、日本の防空識別圏内の日本海に落下したとみられている。

潜水艦発射弾道ミサイルは成功

SLBM発射を受けて、韓国外交部(外務省)は、「国連安全保障理事会決議違反だ」と強く糾弾。安倍晋三首相も「わが国の安全保障への重大な脅威であり、地域の平和と安定を著しく損なう許しがたい暴挙だ」と批判した。

ミサイル発射に対する両国の非難は当然の対応だが、今回のSLBM発射は今まで以上に深刻な事態を引き起こす可能性が出てきた。

なぜなら、SLBMが「事実上、成功した」と分析されているからだ。

今回、発射されたSLBMは500キロ以上を飛行、韓国全域を打撃圏に入れられるものと分析された。韓国軍は、SLBMは初期開発段階で300キロ以上を飛行すれば成功としていることから、事実上成功したという評価になる。

北朝鮮が、先月9日と4月23日に発射実験を行ったSLBMの飛距離は、それぞれ10キロ以上、30キロ以上を飛行後、空中で爆発。これと比較しても、今回発射したSLBMは技術的に大きな進歩があったことになる。

来年にも実戦配備か

韓国軍当局は、北朝鮮のSLBMの実戦配備には、早くても2~3年はかかると予想していたが、今回の成功により、早ければ来年の初めには配備される可能性が出てきたと見ている。

筆者は過去に「北朝鮮の潜水艦が、性能面で日本の脅威になる日はしばらく来ないだろう」と言及したが、北朝鮮のSLBM開発は予想以上に早いスピードで進んでいることから、日本もこれまで以上の警戒しなければならなくなった。いずれか、海自が北朝鮮の核ミサイル潜水艦を撃沈すべき状況が生じうることがにわかに現実化しつつある。

北朝鮮の弾道ミサイル潜水艦開発の取り組みが20数年前に日本企業の仲介で始まった時、世論の関心はさして高くなかったが、状況はどんどん悪化していることを再認識すべきだ。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記

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