中国吉林省の延辺朝鮮族自治州。豆満江を挟んで北朝鮮と向かい合うこの地には、多くの朝鮮族が暮らしてきたが、その人口がこの20年で減少している。それに伴い、朝鮮族教育機関が激減していることが明らかになった。

地元紙・延辺日報によると、先月22日に行われた第14回延辺州人民代表会議常務委員会の第24回会議で「全州朝鮮族教育状況についての調査報告」が行われた。

それによると、2001年からの2016年までの15年間で、朝鮮族教育機関の数も、生徒数も7割以上減った。

100万人が移住

2001年には270校、11万3200人だったのが、2016年には72校、2万6900人に、それぞれ73%、76%減少した。72校のうち、生徒数が25人以下の学校が20校、6人以下の学校も10校あり、今後数年でさらなる減少が予想される。別の調査では、1970年代には1200以上の教育機関があったとされており、40年で95%も減少した計算となる。

延辺の朝鮮族の人口はここ最近減少の一途をたどっている。2000年に行われた国勢調査では、延辺の全人口218万人のうち、84万人、38.55%が朝鮮族だった。2010年には全人口は227万人まで増加したのに、朝鮮族は73万人、32.45%と、10万人以上減少している。

中でも省都の延吉市の朝鮮族人口の減少が著しい。市政府のホームページによると、人口65万人のうち58%が朝鮮族とされているが、実際は20%前後まで落ち込んでいると見られている。それにもかかわらず人口が増えているのは、漢族が大挙して流入しているためだ。

全体で240万人と言われる朝鮮族のうち、約100万人が、よりよい収入や教育を求めて出稼ぎ、留学、移民などで、北京や上海などの大都市、韓国に移住している。

女性が出稼ぎに

2015年の平均年収は、北京市が7万7560元、上海市が6万5417元で、延辺朝鮮族自治州の4万2894元より大幅に高い。(1元=15.2円)

2010年の統計では北京市には3万7000人、上海市には2万2000人の朝鮮族が暮らしている。韓国には、帰化した人を含めると75万人から80万人の朝鮮族が暮らしていると言われており、重要な労働力となっている。

一方、延吉市の平均年収は4万6178元で、同自治州内にある琿春市は46025元。吉林省の省都・長春市の6万1039元には遥かに及ばないものの、北朝鮮との国境に面した図們市の3万8271元、龍井市の3万6722元などに比べると大幅に高い。延吉市から、大都市や韓国に去った朝鮮族の穴埋めを、周囲の貧しい農村出身の漢族がしているという図式となっているのだ。

また、朝鮮族の晩婚化と少子化が、人口減少に拍車をかけている。

結婚できない

延辺州発展計画委員会の報告書によると、2000年には出生3651人、死亡5018人で、出生数より死亡数がはるかに多い状況となっており、現在でもその傾向が続いている。農村部の18歳から39歳までの多くの女性が出稼ぎに行っているからだ。

また、外国人との結婚も多い。

人口9500人の75%が朝鮮族で占める安図県石門鎮では、30人以上の女性が結婚目的で海外に出国している。

そのため、男性が結婚できなくなり、子どもが減るという悪循環に陥っている。それにつけこんだ人身売買業者が、脱北女性を売りつけている。しかし、そのようにして家庭を築いても、当局に摘発されるおそれから生活が安定せず、経済的に困窮し、子どもが教育を受けられないことも多いという。

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