北朝鮮当局は山林保護という理由で、薪を集めるために山で草を刈ったり木の枝を拾っていた子どもや老人を集中的に取り締まり、住民の反発を買っている。

当局は今年の初春、禿山になった山を森に戻すために、段々畑(山の斜面に作った畑)を潰して、苗木を植えた。しかし、住民たちは冬用の薪を集めるために、木を切ったり、苗木を抜いていたことがわかり、当局が取り締まりに乗り出した。

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によると、恵山(ヘサン)市城後洞(ソンフドン)の山で、草刈りをしていた60代の老人が、山林保護員に咎められ、鎌を振り回し、山林保護員に怪我を追わせる事件が起きた。

先月22日に城後洞に住んでいるイム・ジョングン(62)さんは、町内の裏山に登り、ヨモギなどの草を刈り取っていた。下山途中に運悪く、山林保護員にバッタリ出くわしてしまった。

イムさんは、検問に素直に応じたものの、山林保護員が縛った草の束を解いてしまったため「そこまでしなければならないのか」と強く抗議した。

イムさんの抗議に気分を害した山林保護員は、束の中から松の枝を見つけるや言いがかりを付けて、1500北朝鮮ウォンの罰金を払うように要求した。

薪も食べ物も買うカネがないほど貧しい暮らしをしているイムさんは「目が悪いからわからなかった。わざとやったことではない」と事情を話したが、山林保護員は問い詰め続けた。

その態度に激怒したイムさんはとんでもない行動に出た。

「この人でなし!お前を殺してワシも死ぬ」

山林保護員を罵ったイムさんは、鎌で切りつけたのだ。我に返ったリムさんは、山林保護員の手当てをしようとした。

ところが、山林保護員がイムさんに殴りかかり、家の垣根に頭を押しつけた。物音を聞きつけてやってきた近所の人が止めようとしたが、保護員は暴行をやめず、腕っ節の強い若者に止められるまで暴行は続いた。

だが、イムさんは頭にひどい怪我を負って意識を失い、病院に運ばれたがまだ意識が戻っていない。

イムさんの妻と娘が両江道の労働党に訴えたが、党は逆にイムさんの方に責任があると主張した。さらに市の山林経営所の担当者は、暴行容疑で息子を保安署(警察署)に連れて行く有様だ。

情報筋によると、最近に入って住民と山林保護員の間のトラブルが絶えない。当局は、個人耕作地を没収し、苗木を植えたが、畑を奪われた人々は怒って苗木を抜いてしまう。そうなると、担当の山林保護員の責任問題になるため、大げんかとなるのだ。

当局は、町から遠く離れた山間部に車で乗り付けて、大量に薪を切る人がいるため、保安員を動員して大々的に取り締まっている。山林経営書の許可証があっても、許可印(木に押した印鑑)がなければ、問答無用で没収するという。

町の市場では、1立米の薪が3万北朝鮮ウォンで売られているが、一般家庭が越冬するには少なくとも8立米、暖房までするには12立米が必要になる。薪集めが禁止され、買うカネもない老人が凍死する事件が相次いでいるという。

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