金正恩党委員長と北朝鮮を語る時、必ず出ると言っていい疑問が「金正恩氏は、権力固めができているのか?」だ。
1984年生まれで32才の若者に過ぎない金正恩氏が、最高指導者として核・ミサイルをひっさげて、米国をはじめとする世界と真っ向から渡り合っているという構図を見ていると、確かに北朝鮮政治内で、彼とは別の何か大きな力が働いていると思わざるをえない。
対北情報筋や北朝鮮を分析する研究者の間でも、このあたりに対する分析と評価は真っ二つにわかれており、決定的な答えは未だに出ていない。しかし、正恩氏を固める側近たちの動向をつぶさに見ていると、おぼろげながら金正恩体制の権力構造の内部で何が起きているのか、見えてくる。
側近すら残虐に処刑
まず、北朝鮮という国は、外側からは出世街道に乗っているように見えても、どれだけ体制に忠誠を誓っていても、「一寸先は闇」だ。