故金正日総書記の専属料理人として知られる藤本健二氏は、正日氏だけでなく金正恩党委員長をはじめとして謎に包まれた北朝鮮ロイヤルファミリーの内幕を知る数少ない人物だ。

彼がもたらす情報は、単なるスキャンダルではなく、北朝鮮指導層、とりわけ「金王朝」を知るうえで貴重な証言として日本政府や公安当局も注目している。

乱痴気騒ぎに動員される女学生

藤本氏は、料理人という立場から食生活における正日氏の贅沢ぶりを暴露したが、それだけではない。北朝鮮で幹部を中心に開かれる「金正日の秘密パーティー」の乱痴気騒ぎまで暴いた。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)や複数の内部情報筋が伝えたところによると、この秘密パーティの接待役、いわば「コンパニオン」として名門である「金星学院」の女学生が動員されているという。

藤本氏は、金正日死後の2012年に訪朝し、禁制品であるクロマグロを持ち込んで寿司を握った。正恩氏はそれをおいししそうに食べていたという。父の贅沢ぶりが、息子にも踏襲されていることが垣間見えるエピソードだ。

欧州などの情報筋によると、正恩氏は、スイス留学経験があるからか、スイス産のエメンタールチーズの味が忘れられず、大量に輸入しているという。クロマグロといいチーズといい、コッテリした食事を好むようだが、だとすればあの太り具合も納得だ。

いずれにせよ、正日氏も正恩氏も北朝鮮の一般大衆が貧しい生活をしているなかで、贅を尽くしていることは間違いない。こうした金王朝の贅沢ぶりについて、「第2の藤本健二氏」と言える人物が重い口を開いた。

その人物とは、金正日氏の専属イタリアンシェフだったエルマンノ・フルマニス氏。

イタリアの「藤本健二」氏

フルマニス氏は、90年代の北朝鮮の大飢饉時に、飢餓に苦しむ人民大衆を救うために、北朝鮮にわたった。しかし、彼に要求されのは、イタリアンシェフとして金正日氏本人に高級料理を提供することだった。その時の体験の一部について、英国のタブロイド紙のデイリー・スターと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)のインタビューに応じて語っている。

主に金正日時代の回想と思われるが、金正恩氏についても語られるだろう。これまで知られていなかった秘話に注目が集まる。例えば、「金正恩氏は普通のトイレを使えない」というような仰天エピソードが、「金正日専属イタリアンシェフ」によって暴露されるかもしれない。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記

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