かわいい息子を栄養失調がまん延する軍隊に10年もとられる上に、夫は党や行政が割り当てるタダ働きに駆り出され、休めば「労働教化」という名の強制労働が待っている。そんな中、実生活上の苦労のほとんどを女性が担ってきた。
人口の5%を超える多数の餓死者を出した90年代後半の大混乱「苦難の行軍」から、20年あまりが経つ。その間に積み重なった怒りたるや、爆発寸前といっても過言ではないだろう。現に、今回の事件を伝えてくれた取材協力者のパク氏は女性についてこう語る。
「人々の意識は大きく変わりました。特に、朝鮮の女性が苦しい生活が続く中で鍛えられ、今ではどれほど恐ろしい存在になったのか分かりませんよ」。