「第2の藤本健二氏」が重い口を開いた。北朝鮮の故金正日総書記の専属だったイタリアン・シェフが、英国のタブロイド紙のデイリー・スターと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)のインタビューに応じ、最高指導者専用のグルメと豪華客船について語った。

エルマンノ・フルマニス氏は、北朝鮮が史上最悪の大飢饉「苦難の行軍」の真っ只中だった1997年、当局の招請に応じて、北朝鮮で働くことにした。安くて栄養価の高いイタリア料理を提供し、飢えに苦しむ人を救うつもりだった。

サラミのピザを好んだ正日氏

ところが、彼が求められたのは、一般庶民ではなく、北朝鮮の高級幹部、金正日氏の世話係、医師、カウンセラー、そして時には金正日氏本人に高級料理を提供することだった。

毎晩、異なるメニューでコース料理を作った。味がよければお褒めの電話が入ったが、リアクションがとても悪い日には、総和(総括)を強いられた。

サラミノ・ピザに対しては熱狂的なリアクションがあったが、チーズ・ナッツピザは不評だった。

仕事の後、夜遅くまでメニューの再構成をしなければならなかった。金正日氏は、アンチョビと、塩辛いものが嫌いだったため、すべてメニューから取り除くように要求された。

豪華客船にも招待される

金正日氏はアンチョビや塩辛いものを好まなかった。一方、辛いものは大好きで、中でも唐辛子や黒胡椒をまぶしたホットサラミには目がなかった。

チェックは、担当者2人、通訳とで行い、意思疎通には問題なかったが、ケッパーには一苦労したと語るフルマニス氏。シチリア、キプロス、マルタなど地中海沿岸で一般的な香辛料だが、朝鮮では馴染みのないものだ。

担当者の一人はイントラネットらしきもので検索して、ようやく理解したようだったが、それと同時にメニューから外すことを命じられた。

金正日氏が、元山(ウォンサン)沖に停泊している豪華客船に行く際には同行を命じられた。別荘のような扱いだったこの船には、大きなプールに3階建ての宿泊施設、監視塔、ウォータースライダーがあった。

接待と見られる女性の姿も

フルマニス氏は、その船の直ぐ側に泊まっていた別の船に滞在した。むやみに豪華客船に立ち入ろうとすると、警護員に制止されたが、それでも機会あるたびに船の観察を繰り返した。

船には女性が頻繁に出入りしていた。金正日氏や高級幹部の接待にあたっていたと思われるが、詳細は不明だ。当初はニコニコして挨拶してきた彼女らだが、何らかの命令がくだされたのか、ある日を境に急に態度がよそよそしくなった。

この船はそのヨットは今も元山沖に停泊していることは、衛星写真で確認されている。金正恩氏が使用しているものと思われる。

フルラニス氏は、北朝鮮での体験をまとめた本を近日中に出版する計画だ。

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