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そもそも、増産しようにも、まともに稼働する工場は限られている。しかし、当局から各工場の中間幹部へは「成果を出せ」と命じ、上層部は、「ともかく生産を増やせ」と煽り立てる、すなわち精神論に基づいた大増産運動に過ぎない。

工場は稼働せず、仮に稼働しても、もらえる薄給では最低限の生活もままならなず、従業員は市場に出て商売にいそしむ。稼ぎがなければ、女房に三行半を突きつけられるからだ。女房に見放された生活力も稼ぎもないバツイチ男性を待つのは「餓死の恐怖」あるのみ。

(参考記事:「死の復讐」に怯える北朝鮮のバツイチ男性

そして、従業員がいなければ、わずかながらの稼働もさらに低下し、成果を出せない──北朝鮮の各工場は、こんな悪循環に陥っている。

金正恩式恐怖政治の犠牲者

平安北道の情報筋によると、新義州市を代表する大工場、楽元機械連合企業所ですらも、稼働率は3割にも満たない。