北朝鮮の北部山間地帯の両江道(リャンガンド)では、栄養失調の子どもの割合が3割を超えることが明らかになったと、米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)が報じた。

国連の世界食糧計画(WFP)は、北朝鮮全域8道の85の市・郡で、生後6カ月以上5歳未満の子どもを対象に栄養状態を調査した。その結果をまとめた「北朝鮮支援事業報告書」によると、両江道の託児所の子どもの32%が栄養失調、発育不良状態で、北朝鮮で最も高かった。

国民全体でも

以下、咸鏡南道(ハムギョンナムド)27.1%、平安北道(ピョンアンブクト)26.3%、黄海北道(ファンヘブクト)25.7%、咸鏡北道(ハムギョンブクト)25.5%、江原道(カンウォンド)24.4%、黄海南道(ファンへナムド)22.4%、首都・平壌近郊の平安南道(ピョンアンナムド)19.8%の順で、全国平均は25.4%だった。

ちなみに、慈江道(チャガンド)は、WFPによる食料配給の監視調査が認められず配給を行わなかったため、今回の調査対象からは除外されているが、両江道と地理、気候の条件が似ているため、状況はさほど変わりないものと思われる。

報告書では、北朝鮮国民全体のタンパク質と脂肪摂取量が国際基準の70~85%に過ぎないとし、市場や農作物へのアクセスが限られる地方ほど栄養状態が悪いことが明らかになった。

アジアで唯一の例

山間地帯のため稲作のできない両江道は、2002年の調査でも咸鏡北道・南道と並んで最も食糧事情の悪い地域であると指摘されているが、他の地域でも食糧が突如不足することがある。穀倉地帯で栄養失調の子どもの割合が全国平均より低い黄海南道でも、2012年春に大飢饉が発生し、多くの餓死者を出した。

「世界の食料不安の現状2015」によると、北朝鮮は、飢餓状況を示す5段階評価で、アジアで唯一最低ランクを記録している。また、全人口に占める栄養不足人口の割合で、2000年から2002年までは37.7%だったのが、2014年から2016年までは41.6%とむしろ増えている。

割合の増加は、より多くの援助を引き出すために北朝鮮当局がより積極的に調査に応じたり、状況を誇張したりしているとの見方がある一方で、市場経済化による貧富の格差の拡大で、食糧があっても経済的理由で入手できない人が増えていると見る向きもある。

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