5月初めに行われた朝鮮労働党第7回大会の事業総括報告で、正恩氏は今後の課題の筆頭として「科学技術強国の建設」を挙げた。これに対し、「政治的・軍事的威力の強化」は一番後回しの5番目だった。
もはや、戦闘機や戦車を動かす燃料も満足に調達できず、部隊の多くが「土建部隊」「漁業部隊」と化してしまった朝鮮人民軍に、正恩氏はますます関心を失っていくのではないか。
しかし、朝鮮人民軍が巨大な武装組織であることに変わりはなく、その弱体化や軍紀崩壊が、いずれ金正恩体制を揺るがす事態を生む可能性は小さくなかろう。
(参考記事:米軍機26機を撃墜した「北の戦闘機乗りたち」)高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。