デイリーNKと、同じメディアグループの対北朝鮮ラジオ「国民統一放送」は、今月10日に非公開で訪韓したトム・マリノフスキー米国務次官補(民主主義・人権・労働担当)との単独インタビューを行った。その主な内容を2回に分けて紹介する。

同次官補は、北朝鮮において政治犯収容所の運営に関わったり、罪のない人々の処刑に関わったりしている人権侵害の責任者たちを「米国が必ず突き止める」と明言した。一部の米国有力者の間には、ナチスのユダヤ人虐殺を防げたかったことを今でも後悔するからとも言われるが、同じ視点で北朝鮮問題を見ている人々もいると聞く。

ちなみにこのインタビューは、国民統一放送により北朝鮮に向け発信された。なお、聞き手はイ・グァンベク同放送代表。

――2014年に「北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(COI)」の最終報告書が公表されて以降、北朝鮮の人権状況に改善は見られるか?

次官補 COIの報告書が重要である理由は、世界中のすべての人々に、北朝鮮の住民の状況を知らせたことにある。北朝鮮国内での生活やその現実を赤裸々に示し、特に北朝鮮国内で政権に反対する声を上げたり、異なる考えを持ったり、当局の指示に反する行動をしたりした人々が、いかに処罰されているかを浮き彫りにした。


この報告書が発表されて以来、北朝鮮の人権状況は世界の国々が対北朝鮮政策を立案する上で重要なウェイトを占めるようになっている。国連安全保障理事会だけでなく、米国、韓国、欧州などでは北朝鮮の人権状況について活発に議論されるようになっている。

同時に国際社会は、北朝鮮国内の変化をいかにすれば加速させられるか、虐げられている北朝鮮の人々をいかにすれば最もよく助けられるかを議論し続けている。

――米国は「人道に対する罪」を犯した北朝鮮の担当者の情報を収集しているようだが、その目的は?

次官補 北朝鮮の政権内部には、現状がいつか変わることを感知している人々がいるはずだ。朝鮮半島の統一後、自分の人生がどうなるかを心配している人もいるだろう。

だからこそ我々は、今日の北朝鮮で起こっている恐ろしい人権侵害において、彼ら自身の責任が非常に大きいことを知らしめたい。

政治犯収容所を統括する人々、罪のない人々の処刑に関与する人々、脱北者を取り締まることに同調する人々に、自分たちがやがて国際社会の制裁対象リストに指定されるであろう事実を知らしめたい。そして最終的には、北朝鮮の人権侵害の責任者が誰であるか、我々が必ず突き止めることを、彼らに知らせておきたいと思う。

彼らは、現在の行為の代償を必ず払わされるということを知っておくべきなのだ。

そして、彼らが現在行っていることについて、考え直してもらいたい。自分たちの未来を想像しながら、今行っていることにおいて、よりましな決定を下すよう求めたい。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記

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