タンザニアでインチキ治療を行い、物議を醸してきた北朝鮮系クリニックに対して、被害者が告訴する動きを見せている。タンザニアの「シティズン」紙が詳細を伝えた。

このクリニックは、最大都市ダル・エス・サラームのテメケ地区にあるM.S診療所だ。マイボン・スキダル・メディカル社が経営し、責任者は「キル」とだけ伝えられている。ちなみに、タンザニアのタンガニーカ地域医事委員会の外国人医師のリストには、キル姓の医師は登録されていない。

このクリニックは、保険当局の度重なる取り締まり、営業許可の取り消しにもかかわらず、テメケ地区のタンブカ・ラリ警察署の敷地内にある与党の革命党のビルの中で営業を続けてきた。セント・アンソニー高校に通う19歳のガブリエル・シルベスターさんは、ひどい咳と胸の痛みに苦しめられ、このクリニックに通うようになった。しかし、3週間経っても効果は出なかった。

それどころか、血を吐いて、死の淵をさまように至った。ガブリエルさんは回復し、後に結核であることが判明したが、北朝鮮系クリニックでは「お灸」と「カッピング」で治療しようとしていたというのだ。

シティズン紙が公開した北朝鮮系クリニックのカッピング治療の様子。(画像:Citizen)
シティズン紙が公開した北朝鮮系クリニックのカッピング治療の様子。(画像:Citizen)

憤慨した父親で弁護士のシルベスター・シャヨさんは、保健省に対して「息子は3週間クリニックに通い、正体不明の北朝鮮製の薬を処方され、治療を受けたが効果がなかった」と嘆願書を提出している。

さらに、クリニックに対して「苦情に対して14日以内に回答のない場合は、予告なしに法的手続きに入る」との手紙を発送し、訴訟準備を進めている。

保健省は、ブラックリストに未掲載だったこのクリニックを掲載し、取り締まりを進めるとしている。

被害者の訴えに対して、北朝鮮系クリニックは謝罪、補償はおろか、事実無根だと反発している。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、報道の翌日に病院所属の医師4人が新聞社を訪れ「ガブリエル・シャヨという患者を治療したことはない」と強く抗議した。

北朝鮮系クリニックは、インチキ医療ばかりではなく、汚職にも手を染めている。

デイリーNKジャパンの調べによると、同社所属の医師、ユン・ヨンシン氏、キム・ソンフィ氏は2011年、首都ドドマで病院開設の許可を取るために10万シリングのワイロを送った容疑で汚職防止局(PCCB)に摘発され、4年以下の懲役または50万シリングの罰金刑に処せられた。

北朝鮮当局が、外貨稼ぎの一環として始めたメディカル・ビジネス。しかし、あまりにものお粗末さのせいで自滅へと向かっている。

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