それは、軍の命令として兵士を派遣すれば賃金を別途払わずに済み、現地でも軍紀に従うため、統制が楽だからだ。つまりは兵士らをタダ働きさせ、給料を丸ごと吸い上げようというわけだ。
意外かもしれないが、最近の北朝鮮において、軍の地位は必ずしも高くない。
北朝鮮には、2種類の軍人がいる。軍の思想統制や人事を掌握する「政治軍人」と、戦闘指揮を担う「野戦軍人」である。そして、前者の代表格は正恩氏の最側近として知られる黄炳瑞(ファン・ビョンソ)総政治局長であり、後者に含まれるのが、まるで見世物のように虐殺された玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)前人民武力部長だ。
(参考記事:「家族もろとも銃殺」「機関銃で粉々に」……残忍さを増す北朝鮮の粛清現場を衛星画像が確認)そう、このところ相次いで姿を消したのは、いずれも野戦軍人の出世頭たちなのである。