農村支援がない冬には、肥料や燃料の木を一日中集めなければならない。さらに、学校の教員の畑作業の手伝い、引越の手伝いにもかり出される。子どもたちは、学校においても労働を強いられており、彼らも「現代の奴隷」に含まれるとも言える。
(参考記事:北朝鮮で強制労働させられる子どもたち…王様どころか奴隷)最も非難されるべきは、北朝鮮が、収監者や一般大衆、そして子どもたちの強制労働を「奉仕活動」や「国家への忠誠」という大義名分に置き換えて正当化していることだ。そして、奉仕活動で成果を出せなければ「忠誠心が足りない」と政治的に非難される。そして、その代償として要求されるのは「カネ」である。
北朝鮮が掲げる「ウリ(我々)式社会主義」は、大衆の強制労働や強制奉仕によって成り立っているに過ぎないのだ。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。