救出装備も不十分なことから、ほぼ人の手で救出作業が行われている。しかし、10日経っても救出されていない数百人は既に死亡したと見られているという。詳細はまだ不明だが、なんらかの事故が起きた可能性は十分にある。過去にも建設現場で大規模事故が発生し、大量の死傷者を出しているからだ。
(参考記事:【再現ルポ】北朝鮮の橋崩落事故、500人死亡の阿鼻叫喚…人民を死に追いやる「鶴の一声」)しかし、いくら事故が起こっても、北朝鮮当局は救助を第一に考えない。まずは情報が外部に漏れることを恐れ、事故の隠蔽により力を入れる。この有様では、金正恩氏がいくら「人民生活の向上」を訴えても、スローガンが空しく響き渡るばかりだ。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。