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一部の人々が、党大会への不満をスローガンやポスターなどの宣伝物にぶつけ、破壊事件が起こる可能性があるからだ。

(参考記事:「金正恩バンザイ」のスローガンが消え去る日…中朝国境最新レポート

金日成・正日氏の銅像はいうまでもなく、プロパガンダポスターやスローガンに対する破壊事件が発生すれば、真っ先に反体制勢力の仕業と疑われる。そして、責任を問われるのは、現場や末端の治安機関。そうしたことを未然にふせぐため、さっさと撤去したと見られる。そうでなくとも、大会初日には、行政機関に対する放火テロ事件も発生していた。

(参考記事:北朝鮮で放火テロ、国民の怒りが爆発か

治安機関が緊張感を高める一方で、庶民たちは、大会で改革開放路線が示されなかったことで、不満もさることながら「改革・開放への期待はやっぱり夢だったか…」と落胆。なかには、「70日戦闘では70日間苦労したが、今回示された経済発展5ヵ年戦略では5年も苦労するはめになる」と嘆く声もある。

金正恩氏は、党大会を通じて忠誠心を高め、体制をより強固にしようと目論んでいたようだが、どうやら逆効果になっているようだ。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記