北朝鮮が来年3月までに、両江道(リャンガンド)に駐屯している朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の、兵力を大幅に増員することを決定した。

両江道のデイリーNK内部情報筋によると、最近、両江道の地区司令部(第10軍団)の人員を1万人増やすようにという国防委員会の命令が下された。それに伴い、12月からの冬季訓練の前に3千人、来年3月の招募事業(徴兵事業)でさらに7千人増やすことになった。

その背景について情報筋は、咸鏡北道(ハムギョンブクト)、平安北道(ピョンアンブクト)、慈江道(チャガンド)に配置された兵力と比べて脆弱な両江道の兵力を増強するためものだと説明した。

現在第10軍団は、恵山(ヘサン)市、普天(ポチョン)郡大鎮坪(テジンピョン)労働者区、甲山(カプサン)郡、雲興(ウヌン)郡に駐屯する4つの教導師団からなり、主力は予備役軍人だ。現役兵は軍団直属の1個火繩銃(赤外線熱追跡対空ミサイル)大隊、82高射砲連隊、高射銃大隊、通信大隊、兵器修理所だけに配属されているに過ぎない。

しかし、両江道の兵力が決して少ないとはいえない。

現在両江道には、第10軍団以外にも、白岩(ペガム)郡にレーダー部隊、三池淵(サムジヨン)郡興渓水(フンゲス)労働者区にレーダー・対空ミサイル部隊と護衛司令部の部隊、金亨稷(キム・ヒョンジク)郡に中距離ミサイル部隊、甲山郡に第43狙撃旅団、恵山市に第8総局(軍需動員総局)旅団、両江道の国境警備旅団などが駐屯しており、「民間人より軍隊の方が多い」「新たに兵士が1万人もやって来れば、ただでさえ苦しい庶民の食糧事情に悪影響が出ないか」と地元住民は不満をこぼすほどだ。

北朝鮮が中朝国境地域で1万人規模の兵力増強を行なうのは、1995年の「第6軍団クーデター謀議事件」を収拾するために、咸鏡北道(ハムギョンブクト)に第9軍団を配置して以来のことだ。

この事件は、朝鮮人民軍の少将がクーデターにより金正日政権を打倒しようとしたが、決行前に発覚。少なくとも幹部40数人が処刑され、すべての家族が収容所送りになったというものだ。

一方で北朝鮮は去年8月、恵山市内に配備されていた82連隊の14.5ミリ高射銃第2中隊と独立小隊を、中国の要請で中朝国境を流れる鴨緑江から5キロ離れた馬山嶺(マサンリョン)まで後退させた。高射銃12門の照準が、中国吉林省の長白朝鮮族自治県に向けられていたからだ。

情報筋によると、朝鮮人民軍の兵士の間で「中国が、吉林省延辺朝鮮族自治州の安図県にミサイル基地を建設し、長白県の後方にも機械化部隊を配備したため、それに対応するために部隊を増強した」と噂している。

つまり、中国側の軍備増強に対応して北朝鮮も軍備増強したというものだが、ミサイル基地が実際にあるのは安図県ではなく敦化市で、北朝鮮までは150キロほど離れているため、この噂は説得力に欠けると言えよう。

    関連記事