北朝鮮当局は、この事案を「重大」とみなし、情報統制を行ってきた。
朝鮮中央通信は先月12日に「集団拉致誘拐を謝罪し、全員を返せ」との朝鮮赤十字社中央委員会の報道官の談話を伝えているが、労働新聞は先月29日になるまでこの件を扱った記事を報道していなかった。
当局は、このことが国内に知れると動揺が広がると判断し、情報統制を行ったようだが、韓国のラジオを聞いている人々や、事の顛末を知っている幹部を通じて、とっくの昔に国内に知れ渡ってしまっている。
当局は「彼女たちは韓国の国家情報院に拉致された」と騒ぎ立てているが、住民たちは全く信じず「13人も一度に拉致するなどありえない」と鼻で笑っているという。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。