さらに、「苦難の行軍の時期のように、わが党と人民の前に、自主的人民として尊厳をもって生きるか、再び帝国主義の奴隷になるのかという、死生決断の問題が先鋭に提起されたことはかつてなかった」として、北朝鮮の自主的立場と社会主義建設を進める上で、「苦難の行軍」は不可欠な試金石となったとの認識を示している。
つまり、大量餓死はあくまでも外部勢力と自然災害によってもたらされたものであり、その危機を金正日氏が先軍政治で克服した。その克服の過程で、北朝鮮は団結し、さらに強化されたという都合のいい解釈だ。金正恩氏が、その権威の源泉として依存する祖父と父親の失政を真っ向から批判するのは、極めて難しい。しかし、北朝鮮の大衆は「苦難の行軍」をサバイバルする過程で「草の根資本主義革命」とも言える流れを作り出し、社会主義体制を確実に浸食してきた。
つまり、金正恩氏が自らの体制を守りたいならば、いずれにせよ「苦難の行軍」を総括するほかないのだ。あるいは、正恩氏による核とミサイルの「暴走」は、総括という「苦行」を恐れるが故の、現実逃避の表れなのかもしれない。
(参考記事:金正恩氏が「暴走」をやめられない本当の理由)