北朝鮮では、6日午前より朝鮮労働党第7回大会が開かれているが、どうも閉鎖的な大会となっているようだ。

現地入りした取材陣から伝え聞くところによると、100人以上の海外メディアは、大会会場の「4・25文化会館」に入ることすらできず、外観の撮影が認められただけだったという。開幕式の模様すら公開されていない。

国営テレビの朝鮮中央テレビも、大会の様子を大々的に報道することなく、記録映画や通常の映画などを淡々と流すのみ。そんななか、同じく国営メディアの朝鮮中央通信は、なぜか、1961年に創作された北朝鮮歌謡の定番曲「われら幸せうたう(この世に羨むものはない)」に金日成賞と金正日賞が授与されたニュースを伝えるなど、いささか拍子抜けの感が否めない。

一方、労働党の機関誌「労働新聞」は同日、大会の意義を強調する社説を掲載。社説は、「今回の大会を通じて朝鮮労働党は全党が金正恩元帥と思想と呼吸も、足取りも共にする一つの有機体になる」と強調する。

金正恩氏が狙う「オヤジ超え」

現時点で、北朝鮮が情報統制を強いている原因は不明だが、労働党大会に関する数少ない報道の一つとして配信された社説をここに引用する。

中央紙 第7回党大会の開会に関連して社説を発表

【平壌5月6日発朝鮮中央通信】6日付の朝鮮の中央紙は、朝鮮労働党第7回大会の開会に関連して社説を発表した。

「労働新聞」は、いつも党と運命を共にし、党に従って百勝の叙事詩を記してきた朝鮮の千万軍民は自主時代の最も洗練された革命の参謀部である朝鮮労働党に対する絶対的な信頼心を抱いて党大会を迎えているとし、次のように強調した。

こんにち、金正恩元帥を最高の首位にいただいた朝鮮労働党は人民大衆の自主偉業、社会主義偉業を百勝の一路へ導いて時代と歴史発展の流れを主導していく偉大な指導力量としての尊厳をとどろかしている。

帝国主義、支配主義がはびこる大国中心の不公平な国際政治秩序に甚大な破裂口を開けて自主的な新世界の建設を先導していくチュチェの強国、世紀を先取りして人民の万福を目覚しい現実に実現していく社会主義復興強国、これが朝鮮労働党が導く白頭山大国の尊厳ある姿である。

代を継いで革命の赤旗を、これはひとえに真の人民の導き手である朝鮮労働党だけが収められる大勝利である。

同紙は、過去の30余年間、朝鮮労働党が歴史のむごい狂風の中で人民の生命、生活である社会主義をしっかりと守り抜き、朝鮮式、朝鮮の力で社会主義の強盛・繁栄を目指す道を成功裏に切り開き、領袖の偉大な思想と偉業を立派に継承し、発展させたことについて明らかにした。

また、今回の大会を通じて朝鮮労働党は全党が金正恩元帥と思想と呼吸も、足取りも共にする一つの有機体に、老熟かつ洗練された政治的参謀部にさらに打ち固められることによって、社会主義偉業を立派に完成する必勝不敗の指導的力量としての威容をあまねく宣揚するであろうと強調した。

「民主朝鮮」紙は、世界はやがて、不滅の偉大な金日成・金正日主義を革命の原動力に、一心団結を百勝の霊剣に、最強の核抑止力を強盛・繁栄の保証として、固い信念を持って前進する偉大な金正恩時代のチュチェ朝鮮がどんな奇跡を生み出すかをはっきり見ることになるであろうと強調した。

出典:朝鮮中央通信

金正恩第1書記としては、36年ぶりの今回の大会を通じて、生前、大会を開催すらできなかった父親の金正日総書記を超えて、祖父の金日成主席に並び立ちたかったはず。そのうえで、名実ともに北朝鮮の最高指導者であることを確認、そして誇示する狙いがあったと見られる。

しかし、このままでは「朝鮮労働党大会」は看板だけで、密室会議の延長版で終わる可能性もある。そうなれば、「オヤジ超え」どころか、ただでさえ確立していない金正恩氏の権威がさらに下がるという逆効果を招きかねない。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記

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