北朝鮮北部の山間地域を中心に、野菜の値段が急騰し、庶民の暮らしを直撃している。

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によると、今年2月には1キロ2500北朝鮮ウォン(約37.5円)だった白菜が、4月に入って7000北朝鮮ウォン(約105円)まで高騰。これはコメ(5080北朝鮮ウォン、約76円)より高い。大根も1200北朝鮮ウォン(約18円)から3100北朝鮮ウォン(約46.5円)に上がった。

野菜価格の高騰には様々な要因が考えられる。もともと、朝鮮半島の春は、「春窮」または「ポリコゲ」と呼ばる季節だ。越冬用に蓄えておいた食糧が底をつき、麦の収穫が始まるまで飢えに苦しむ。韓国ではもはや昔話だが、慢性的な食糧不足に苦しむ北朝鮮では、現時進行形の話しだ。

「春窮」に加えて、特に今年は、制裁の影響もあると見られる。庶民たちは、「経済制裁で今後食糧不足がひどくなるかも?」と不安に思い、コメを節約すべく野菜を混ぜて炊く人が多いため、需要が増している。

また、朝鮮労働党第7回大会に向けた大増産運動「70日戦闘」の悪影響との見方もある。野菜を育てて市場で売ることで生計を立てている情報筋は、度重なる勤労動員で農作業に支障が出て、怒り心頭だという。市場も活気を失っている。

実際に食糧が不足している地域もある。

大紅湍(テホンダン)郡の一部地域では、千切りにした大根に片栗粉をまぶした「大根麺」、海辺にある咸鏡北道(ハムギョンブクト)の北青(プクチョン)郡では、ワカメを大量に混ぜた「ワカメ飯」で延命する人が現れている。

一方、野菜価格の高騰は一時的なものだとする見方が強いと情報筋は伝えた。高騰しているのは野菜だけで、他の物価は安定している。北朝鮮ウォンのレートにも大きな変動はない。高騰の原因は、国内需要だという。情報筋も「いくらなんでもコメより高い白菜を誰が買うのか」と野菜価格が落ち着くと見ている。

平壌や平安南道でも白菜価格が5000北朝鮮ウォン(約75円)まで高騰しているが、早生のホウレンソウが出回りだしたため、白菜の値段も下がることが予想されている。

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