金正恩第1書記の叔父だったにもかかわらず無慈悲に粛清・処刑された張成沢氏は、中朝に強いパイプをもち、海外駐在たちにも多大な影響力を持っていた。それだけに、「自分たちにも粛清の影響が及ぶのでは?」という不安心理を海外駐在員たちに植え付けた。
さらに、北朝鮮史上、希に見る粛清劇の余波はいまだに続いているのだ。昨年の5月、そして今年1月には朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の最高幹部たちが、相次いで粛清された。海外駐在員たちが「下手に帰国すれば命が危うい」と戦々恐々するのは、当然のことといえる。
(参考記事:北朝鮮軍「処刑幹部」連行の生々しい場面)だからと言って、彼らが外国にいれば安泰というわけでもない。北朝鮮本国は、大使館、領事館の施設維持費すら保障しない。それどころか、忠誠資金(上納金)の要求ばかりを突きつけるため、外交官たちは、本来の業務そっちのけで外貨稼ぎビジネスに没頭せざるを得ない。
(参考記事:金正恩氏の「バイアグラ資金」が盗まれている)その外貨稼ぎすら、今後は制裁の余波で厳しくなることは必至だ。