北朝鮮が、またもや核実験を強行するかもしれない。

韓国の聯合ニュースは17日、韓国政府消息筋の話に基づき、「韓国政府と軍当局は北朝鮮が近く核実験を強行する可能性が高いとみて監視を強化しているもよう」と報じた。消息筋は「最近、豊渓里の核施設で車両や人員、装備の活動が2~3倍に増えた」と述べており、今回は小型化された核弾頭の爆発実験である可能性が高いとも指摘されている。

本当にそうなるなら、北朝鮮は金正恩氏が最近の現地指導で指示したとおり、着々と核武装の本格化を進めていることになる。

金正恩氏の最近の現地指導で示された方針は、「核弾頭の小型化」「弾道ミサイルの推進システムの強化」だ。また、正恩氏が直接指導したかどうかは明かされていないが、15日には移動式発射台から中距離弾道ミサイル・ムスダンの発射が行われた。

こうした動きを見ていると、北朝鮮は本当に、核弾頭の小型化にある程度、成功したのかもしれないと思えてくる。核弾頭の小型化に成功したら、次は弾道ミサイルに搭載し、実戦配備することになる。圧倒的な破壊力を持ち、なおかつ軍事的な「切り札」となる貴重な核弾頭を、信頼性の低いミサイルに載せることはできないからだ。

今はまだ、北朝鮮が米国中枢を核攻撃できる能力を持っているとは確認されていない。しかし、それは時間の問題というものだ。それに、日本の大部分を射程に収める中距離弾道ミサイル・ノドンにはいずれ核弾頭が装備されると予想されているし、その主要なターゲットには必ず在日・在韓米軍基地が含まれる。

また、北朝鮮が開発中の弾道ミサイル潜水艦の基地は、日本海側に置かれている。これは、いずれ日本列島の脇をすり抜けて太平洋に進出し、米国に照準を合わせようとの意図をうかがわせる。

そのような事態になったら、日本の安全保障は大きな影響を受けざるを得ない。


経済制裁はいずれ正恩氏の意図に何らかの影響を与えるかもしれないが、今まさに進行している事態は防げない。北朝鮮が核兵器の配備を完了した後で、対話を持つことにどれだけの意味があるのか。危機は着々と増大しているという事実を、われわれは厳しく認識しておくべきだ。


高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記

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