北朝鮮の外貨獲得のための主要商品のひとつであるマツタケに、「放射性物質により汚染されているのではないか」との疑惑が持ち上がっている。

台湾の夕刊紙「自立晩報」が最近指摘し、その引用も交え、韓国の聯合ニュースが上海発で報じている。

日本に不正輸入の事例も

一連の報道によれば、北朝鮮が2006年以来、4回の核実験を行った咸鏡北道(ハムギョンブクト)吉州(キルチュ)郡の豊渓里(プンゲリ)は、マツタケやコウダケの産地である明川(ミョンチョン)郡や漁郞(オラン)郡と隣接している。

それにもかかわらず国連安全保障理事会などは、北朝鮮の核実験それ自体については問題視する一方で、自然環境や人体に対する放射性物質の影響は看過している――台湾紙はこの点を大きく問題視している。

さらには、近年になった豊渓里に近い南大川で魚が減り、男性住民らの頭髪が抜ける傾向が顕著になっているとの現地情報に言及。また、昨年10月に中国経由で流入したコウダケを韓国の食品安全当局が分析したところ、基準値の9倍にもなるセシウムが検出されたとしている。

日本は、すでに独自制裁によって北朝鮮との貿易を全面禁止しており、北朝鮮産の食品が国内に出回ることはないが、例外もある。

在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の許宗萬(ホ・ジョンマン)議長の次男らが有罪判決を受けた北朝鮮産マツタケの不正輸入事件では、2010年の9月に3トンのマツタケの取引が行われており、すでに放射性物質の影響を受けていた可能性もあった。日本に出回るマツタケ全体の中では微々たる量ではあっても、放射性物質が引き起こす健康被害の深刻性を鑑みれば、どうでも良い問題とは言えない。

日本ですらこうしたケースがあるのだから、一部の戦略物資を除き北朝鮮との貿易がなお続いている中国や、その隣接国では、北朝鮮における自然環境の汚染は現実的な脅威となっているのだろう。

1993年にNPTからの脱退を宣言して以来、北朝鮮の核関連施設は実質的に、いかなる国際安全基準にも縛られてこなかった。核爆発の実験場や、ウランの遠心分離施設に至っては、そもそも国際社会から隠れて運営されている極秘施設であり、第三者の監視の目など最初から皆無だ。

どれほど杜撰な管理をしていても絶対にとがめられないとなれば、安全への意識が低下するのは免れないだろう。そうしたことを考えれば、中華圏のメディアの指摘はもっともな懸念ではある。

そして最大の問題は、金正恩体制が核開発を放棄するか、あるいはその体制自体がなくなる日がきたとしても、汚染された自然環境は容易に回復しないということだ。日本とて、北朝鮮との間で永遠に貿易を行わないというわけではない以上、今から警戒感を持って置く必要があるだろう。

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