中国浙江省の寧波市にあった北朝鮮レストラン「柳京食堂」の支配人と従業員の合わせて13人が「集団脱北」し、韓国に入国した事件について、韓国メディアが様々な続報を報じている。

聯合ニュースは、柳京食堂の電気、水道の点検、修理を行っていた中国人の外部業者の証言を引用しながら、「柳京食堂は、中国人社長と北朝鮮関係者によって運営されていた。両者の間で暴行事件が起き、関係者が警察の取り調べを受けるなど、深刻なトラブルが発生していた」と報じた。トラブルの原因については言及していない。

また、この業者は、「レストランでは北朝鮮出身の従業員10数人に加えて、責任者と見られる50~60代、30代の男性2人がおり、すぐ近所の宿舎で集団生活をしていた」と付け加えた。

韓国KBS放送は、近隣住民の「レストランの従業員は18人から20人いたが、脱北した13人以外の行方はわからない」という証言を報じた。また、レストランの向かいで化粧品店を経営する女性は「レストランの2階には、北朝鮮ビザの業務を行う男性たちがいたが、彼らの姿も消えた」と同放送に述べたという。

通常、中国にいる脱北者が韓国にたどり着くには数週間から数ヶ月を要する。今回、北レス従業員たちはわずか2日で韓国に入国したことから、「彼女たちは北朝鮮のパスポートを利用し、合法的に中国を出国した」と韓国の中央日報は報じた。

さらに中央日報は、中国情報筋の証言として「従業員のパスポートは支配人が管理しているが、彼が主導しての脱北ならば、中国当局にも怪しまれず、また協力を受けなくとも問題なく出国できる」という見方を伝えた。

韓国への入国ルートについて、聯合ニュースは、寧波空港から中国東方航空が運行しているバンコク便を利用して、タイへ入国。その後、陸路でラオスに入り、空路で韓国に到着したと報じた。ラオスのビエンチャン空港からは、大韓航空系のLCC、ジン・エアーと、そしてラオス国営航空が、ソウルの仁川国際空港まで直行便を運行している。

様々な情報と憶測が飛び交うなか、ハンギョレ新聞は、今回の集団脱北が素早く公表された裏には、朴槿恵政権の政治的意図があると指摘する。すなわち13日に行われる韓国総選挙の投開票に向けた選挙対策だ。

同紙によると、今回の集団脱北の公表は、青瓦台(大統領府)からの指示で突如として行われた。統一省は、脱北者と残された家族の安全のため、公表すべきではないと反対したが、政権に押し切られたという。つまり総選挙を前に、朴大統領が韓国政府の独自制裁が、北朝鮮に影響を与えていることをアピールし、保守層の票固めを狙ったものだと同紙は伝えた。

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