国際社会が対北朝鮮経済制裁を強化するなか、北朝鮮国内市場の物価について「高騰している」と「安定している」など、相反する情報が内部から漏れ伝わってくる。こうしたなか、燃料価格が高騰しているとデイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によると、現地における先月末のガソリン価格は1リットル7000北朝鮮ウォン(約105円)程度だったが、今月初めに10700北朝鮮ウォン(約160円)まで上昇。また、ディーゼル油も5350北朝鮮ウォン(約80円)から6350北朝鮮ウォン(約95円)に上昇した。

価格高騰の原因は「季節」「党大会」

北朝鮮北部では長い冬が終わり、種まきの季節を迎えるため、各協同農場は一斉に農業機械に使う燃料の確保に乗り出す。また、4月から5月にかけてはホッケ漁が行われ、6月にはイカ漁が最盛期を迎える。イカの漁獲量で一年の生活が左右されることもあり、漁師たちは漁船燃油の確保に大わらわだ。

高騰の背景には、こうした季節的な要因がある。それに加え、今年は経済制裁が燃油高騰の要因となっている。これまで、中国から海上ルートで燃油が密輸されてきたが、中国当局の取り締まりの強化により、それも困難になった。

さらに、5月に開催される朝鮮労働党第7回大会に向けた大増産運動「70日戦闘」も高騰要因の一つ。党大会に向けて、大型公共工事が各地で行われており、相当量の燃油が消費されているからだ。

北朝鮮の住民達は、燃料価格高騰に不安を覚え、人が集ればこの話でもちきりだという。そして理由を巡って「制裁の影響が現れ始めた」「いや、他の物は上がっていない。軍隊が横流ししたからだろう」など床屋政談が行われているという。

燃油価格の急騰は、あらゆる産業のコスト増につながり、ひいては全体的な物価高騰をもたらす要因となる。種まきや田植え、70日戦闘が終わる6月以降の燃油価格の動向が注目される。

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