中国政府は対北朝鮮制裁を強化している。その一方、中朝間では「制裁破り」が横行し、軍需品などが以前通り中国から北朝鮮へ輸出されているという。

制裁破りで、北朝鮮に輸出されているのは、タイヤ、ステンレス鋼、機械部品、アセトン、防水オイル、高熱グリス、化学薬品の原材料などの軍需品であり、今現在も「ある手口」によって、中国から税関を通じて北朝鮮へ輸入が続けられているという。

一体、どのような手口が使われているのだろうか?

北朝鮮への輸出がつづく軍需品

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、北朝鮮の軍需品は、人民武力部(国防省にあたる)軍需動員総局の「金銀山貿易会社」と、核兵器とミサイルを含む各種軍事装備の開発・輸出を統括する“第2経済委員会”所属の「ソンガン出張所」などを通じて中国から輸入されるという。

「金銀山貿易会社やソンガン出張所は、中国企業の名義で、東南アジアやヨーロッパから品物を輸入する。北朝鮮企業は、それを一般製品と混ぜて包装し直す。中国の税関を通過する際には、申告書と共に決められた額のワイロを渡せば、形式的な通関、または荷物を検査棒で突っつくなど検査するふりをして通してくれる。制裁は強化されているが、通関手続きは相変わらずだ」(内部情報筋)

さらに、北朝鮮側の税関にも申告書を提出するが、適当な品名を書いたり、白紙のままで提出する。白紙の申告書は「特殊製品」を意味し、中央からは「品名、数の記入がなくても構わない、中身について疑問すら持つな」と指示されている。

北朝鮮の税関職員は、検査すらせず「ソンガン出張所」に品物が積載されたトラックを案内する。そして、出張所本部からやってきた課長級の駐在員が物資を選別し、軍需工場に送るーーこうした流れで、制裁破りが横行しているのだ。

北朝鮮の貿易会社駐在員は「カネでできないことはない」とうそぶく。荷積み、荷降ろしに従事する労働者も「ソンガン出張所の仕事は儲かる」と言って喜ぶという。賃金のみならず、砂糖、油、コメなどの物資がもらえるからだ。

こうした「制裁破り」は、中朝国境の複数の税関で行われている。いくら中国の中央政府が制裁を履行しようとしても、地方の現場では遵守されていない現実があるのだ。

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