北朝鮮では、5月の朝鮮労働党第7回大会に向けた大増産運動「70日戦闘」が大々的に繰り広げられている。そんな中、国内最大の製鉄所、金策(キムチェク)製鉄所の稼働が中断していることが明らかになった。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋によると、金策製鉄所は今年1月に一度だけ稼働したのを最後にずっと止まっている。その原因は施設の老朽化と原材料の不足だ。

金策製鉄所の前身は、日本の植民地時代だった1942年に建設された日本製鉄清津製鉄所だ。その当時の設備と60年代にソ連から援助された設備を使用してきたが、90年代中頃からは稼働できない状態が断続的に起きていた。

昨年解体された「3月10日製鋼所」から、使われなくなった設備を運びこんで稼働を行っていたが、この製鋼所も植民地時代に建設された三菱鉱業清津製鉄所が前身とあって、その設備は非常に古いものだった。

さらに、原料の鉄鉱石も不足し、優先的に供給されていた電力もまともに来なくなったため、稼働が完全に停止してしまい、仕事がなくなった製鉄所の従業員は、道路工事現場などに動員されているという。

「鉄の町・清津」に誇りを持っていた市民の間には、製鉄所の稼働停止による落胆が広がっている。 現在、大増産運動である「70日戦闘」が全国的に繰り広げられているが、それにもかかわらず製鉄所が止まり、煙突から煙があがらないのを見た清津市民たちは、北朝鮮の経済が今後さらに停滞することを心配し、肩を落としている。

また、鉄鋼の生産が止まったことで、各地の大型工事にも多大な支障が出ている。それを解決するために当局は窮余の一策を用いた。

別の情報筋によると、既に閉鎖されていた3月10日製鋼所の稼働を再開させたというのだ。

自主的に制作した小型の電気炉で、くず鉄を使った鉄鋼生産に乗り出した。道路やマンションの建設に伴い建物は解体されているはずだが、おそらく残っていた建物を再利用しているのだろう。

まだ涙ぐましい努力と言えるが、生産量は極めて少なく、「70日戦闘」関連の建設に必要な鋼材はほとんど賄えそうにない有様だという。

今回の稼働停止は、国際社会の経済制裁の影響によるものだと言えよう。しかし、制裁で輸出ができなくなり国内でダブついているはずの鉄鉱石が不足している原因は不明だ。

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