韓国政府は、2010年3月に起きた北朝鮮軍の攻撃による哨戒艦「天安」の沈没に対する独自制裁として、南北の交易禁止を含む「5.24措置」を取った。それ以降、韓国企業の北朝鮮への投資や北朝鮮企業との取引は禁じられているが、一部韓国企業は、中国企業を迂回して、北朝鮮との取引を続けてきた。

しかし、核実験やミサイル発射で国際社会の北朝鮮への締め付けが強まり、韓国政府の独自制裁も強化されたことで、北朝鮮との取引を中止する韓国企業が続出している。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。

タグの付け替えが横行

中国遼寧省丹東の対北朝鮮情報筋によると、韓国の縫製業者は様々な形で、北朝鮮との取引を続けていた。取引パターンはおおよそ3つにわけられると語る。

「1つ目のパターンは、中国の業者を通じて、北朝鮮国内の工場に生産を依頼する。2つ目は、北朝鮮から派遣された労働者が働く中国の業者に生産を依頼する。3つ目は、中国人名義で設立させた会社で、北朝鮮から派遣された従業員を雇用し生産を行う」(丹東の情報筋)

いずれも、製品には「メイド・イン・DRPK」ではなく、「メイド・イン・チャイナ」のタグが付けられる。つまり、法の網を掻い潜って安価な北朝鮮の労働力を利用することができたのだ。

しかし、こうしたグレーゾーンを活用してきた韓国の縫製業者も、対北朝鮮ビジネスから手を引き始めたという。ある韓国の業者は、北朝鮮から派遣された労働者を雇用し、スポーツウェアを生産、その額は100億ウォンに達していたが、最近工場を閉鎖し、中国から撤退した。その理由について、丹東の情報筋は次のように語った。

「周りの厳しい視線など気にせずに、中国企業を介して北朝鮮と取引を行っていた韓国の縫製業者も、さすがに最近の空気を無視できなくなった」

韓国縫製業者の撤退の流れに頭を抱えているのは、中国の業者だ。取引を中止する韓国企業が続出し、立ちゆかなくなり廃業する業者が続出している。また、北朝鮮国内の縫製工場も少なからず打撃を受けているようだ。

韓国貿易協会の今年1月の発表によると、北朝鮮が中国に輸出した繊維の額は8億1300万ドルに達するが、その多くが中国企業が原材料を提供し、北朝鮮で生産を行い、中国に輸出したものと見られる。

国連安保理の制裁決議2270に基づき、北朝鮮は石炭、鉄鉱石、レアアースの輸出ができなくなっている。鉱物資源に代わる外貨稼ぎの救世主が「海外への労働者派遣」だ。

北朝鮮は、応募条件を緩和するなど、海外に派遣する労働者の数を増やそうとしているが、韓国企業の撤退により、その目論見にほころびが生じつつある。

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