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90年代中盤からの経済難によって広がった売春は、組織化が進んでいる。これに目をつけた中国の人身売買業者は、10代、20代の北朝鮮女性を中国人民元で2万元から3万元(約36万円~54万円)で売買しながら、上海の南の浙江省や福建省の売春業者に送り込んでいるという。

(参考記事:北朝鮮、組織化する売春業…バス停が「風俗案内所」
(参考記事:【動画:単独入手】 北朝鮮で「生計型売春」が増加

売春に対して、北朝鮮当局もそれなりに問題意識はあるようだ。実際、金正恩第一書記も「売春を根絶しろ!」との指示を下しているという。

(参考記事:女子大生売春に悩む金正恩氏

しかし、売春業の拡大や人身売買の現場には、朝鮮労働党や朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の国家機関や個人が、多かれ少なかれ関わっている。また、米国務省が発表した「2015年人身売買報告書」は、北朝鮮は人身売買の防止において2003年から13年連続で最低クラスに指定されるなど、一向に改善の余地は見られない。つまり、中朝国境での人身売買の横行は、金正恩体制の責任が大であると言えるのだ。

(参考記事:金正恩氏が「暴走」をやめられない本当の理由

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記