北朝鮮では、今年5月の朝鮮労働党第7回大会に向けた大増産運動「70日戦闘」が繰り広げられている。新聞には「目覚ましい成果」「目標を超過達成」の文字が踊っている。一方で、当局の指示で古着を国に供出するキャンペーンが行われている。その理由を米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。

慈江道(チャガンド)の内部情報筋によると、古着供出の指示が出されたのは今年3月10日のことだ。各地の人民班(町内会)を通じて下された指示は「1世帯あたり10キロの古着を供出せよ」とのものだった。小中高の各学校では「古着を1人あたり2着供出せよ」との指示が下された。

いざ古着を10キロも出そうにも持っていない人が多い。「建設現場で使う手袋を作って供出せよ」との指示が毎年出されるので、古着はことごとく手袋にして供出してしまっているからだ。人々は古着集めに大わらわだ。

「古着まで物乞いする有様なのに、何か成果だ、超過達成だ」と当局のプロパガンダを非難する声が上がっている。「チュチェの雑巾(ぞうきん)集め運動」などと揶揄する人もいる。

古着集めの理由として当局は「経済に必要な『遊休資材集め運動』の一環」だと説明している。しかし、真の理由は別のところにあった。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋によると、軍の兵士たちが兵器を手入れする雑巾(ウエス)が不足しているため、古着を集めているというのだ。

元々、軍で使う布や綿は咸興(ハムン)にある「2.8ビナロン工場」で生産していたが、何らかの理由で生産がストップしてしまっている。そのため、住民から古着を供出させているのだ。

2.8ビナロン工場は、施設の老朽化と電力難で稼働がストップしたが、金正日氏の指示で2010年3月から再び稼働を始めた。朝鮮中央通信は、今年の2月20日、朴奉珠(パク・ポンジュ)総理が2.8ビナロン工場を視察したことを伝えているが、その後に何らかの異変が起きたのだろう。

朝鮮人民軍は「青瓦台とソウル市内の政府機関を攻撃する」「ソウルを火の海にする」などと言って、大規模軍事演習を行っているが、一方では雑巾にも事欠くお粗末さだ。

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