100を超える韓国企業が操業していた北朝鮮の開城(ケソン)工業団地が閉鎖されてから1ヶ月。北朝鮮国内では、強い不満が噴出。なかには「まるで強盗だ」という非難の声や、良識のある若い大学生たちからは「非常に恥ずかしい」という声も出ている。

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とりわけ、開城で働いていた労働者の不満は強い。なぜなら、工団は近代的な韓国の生活を味わえる数少ない場だったからだ。たとえば、「労保物資」(労働者を保護するボーナス)の名で支給されてきた韓国製のチョコパイと即席麺が好評を博してきた。これらは、外部の市場に転売されるなどして、北朝鮮全土で人気商品になるとともに、大衆が韓国にあこがれるきっかけにもなった。

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工業団地内のインフラは、北朝鮮の他地域と比べものにならないほどよく、大人気だった。24時間、電気と温水が安定的に供給されることは、電力難に苦しむ北朝鮮の人々にとってはまさに「希望の光」だったのだ。

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北朝鮮当局は「金正恩氏の人民愛のおかげで、人民はこんなにいい暮らしをしている」と宣伝しているが、実際に「いい暮らし」をもたらしてくれたのは、正恩氏ではなく韓国政府と企業だったのだ。なかには、「工業団地こそが社会主義の地上の楽園」と評する人もいる。まさに金正恩氏の顔も丸つぶれだだろう。

ところが、突然の工業団地の閉鎖で、仕事も電気も希望も奪われてしまい、時代が数十年逆行してしまった。「もしかしたら再開するかもしれない」。