北朝鮮の核実験と事実上の長距離弾道ミサイル発射に対する日本政府の独自制裁で、訪朝した場合の再入国が原則禁止される対象となったのは、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)幹部と傘下の在日本朝鮮人科学技術協会(科協)のメンバーら計22人であることが公安関係者への取材でわかった。

関係者によると、対象となったのは許宗萬(ホ・ジョンマン)議長と副議長、局長ら総連幹部や朝鮮大学校などの17人のほか、科協の顧問や会員ら5人。2014年に制裁が緩和される前の対象者は、日本の国会議員に当たる最高人民会議代議員の肩書を持つ総連幹部ら8人前後だったという。

5月上旬には36年ぶりとなる朝鮮労働党大会が平壌で予定されているが、公式には同党の組織でない朝鮮総連に対し、本国から代表団派遣の要請があるかどうかは未知数だった。いずれにしても、朝鮮総連がこうした重要行事に、主要メンバーを派遣することは難しくなった。

送金能力が激減

とはいえ、それが北朝鮮への圧力として作用するかどうかには疑問がある。

許議長は2014年9月、北朝鮮が拉致被害者の再調査などに関する特別調査委員会を設置した見返りに制裁が緩和されたのを受け、約8年ぶりに訪朝。最高人民会議に出席し、同会議の金永南(キムヨンナム)常任委員長と会談した。しかしその際、金正恩第1書記との会見を希望したのに実現せず、北朝鮮にとって、朝鮮総連の存在価値が低下している現実を垣間見せた。

慢性的な財政難にある上、日本の世論の中でも孤立している朝鮮総連は1990年代までと比べ、本国への送金能力・外交調整能力ともに見る影がないほどに弱体化している。職員の給与遅配が当たり前になっているほどだ。

金正恩氏らはそもそも、拉致問題や人権問題でデッドロックににある対日外交自体に興味を失っていると見られ、総連関係者への再入国禁止措置が金正恩体制に与える影響はほとんどないだろう。

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