第4次核実験とミサイル発射を強行した北朝鮮に対する制裁決議案に、中国政府がどこまで本気で臨むのか注目されるなか、北朝鮮の船舶が中国当局に入港を拒否される事態が発生した。

ロイター通信によると、北朝鮮の貨物船「グランド・カーロ」が、中国山東省の日照港に入港しようとしたところ、許可が降りなかった。船は、国連安保理で採択された対北経済制裁決議で名指しされた北朝鮮の船舶管理会社「オーシャン・マリタイム・マネージメント」(OMM、遠洋海運管理会社)所属の貨物船の31隻の中の1隻だ。

情報を明かした匿名の日照港の関係者は「もし制裁の対象外の北朝鮮の貨物船でも、入港を求めてきたら上部と相談して決める」と述べているが、入港拒否が継続されるとなると、北朝鮮は経済面、とりわけ外貨稼ぎでダメージを受けることが予想される。

すでにフィリピンのスービック港に入港した「JIN TENG」が、フィリピン当局に差し押さえられた。こうしたなか、追跡を逃れるために、AIS(船舶自動識別装置)の電源を切り、位置情報が確認できなくなった船舶が続出している。

そこで、デイリーNKジャパンで独自に調査したところ、上記のOMM所属の船舶31隻のうち、過去24時間(3月11日)に、位置情報を発信した記録があるのは「グランド・カーロ」を含めて4隻だったことがわかった。今月3日の時点では15隻の発信記録があったにもかかわらず、わずか一週間ほどで急減した背景には、北朝鮮が制裁を警戒して「追跡逃れ」をしていると見るべきだ。

現時点では、中国全港での入港禁止措置は確認されていないが、その可能性を匂わせる情報もある。

入港を拒否された「グランド・カーロ」は11日午前11時現在、日照港から35キロ沖合に停泊し続けている。一方、「ゴールドスター(金星)3」は、10日21時に香港入港予定だったが、現在香港沖で停泊しており、「リョミョン」は、日照港とは山東半島を挟んで北側の龍口港付近で停泊中だ。

この2隻が停泊し続けている理由は定かではないが、中国と香港の港湾当局が、入港を拒否している可能性も考えられる。

こうした入港禁止措置から見ると、中国政府は表向きは対北制裁に乗り出しているようだ。ただし、こうした措置が継続されるかどうかはやはり未知数である。制裁を抜きにしても、これまでも中朝貿易は双方の思惑で規制と緩和が繰り返されている。半年後には、また通常通りに戻る可能性もなきにしもあらずだ。

金正恩第一書記の反発、そして中朝関係のさらなる悪化を覚悟して、習近平氏が対北制裁を継続するのかに注目される。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記

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