韓国では2日に成立した北朝鮮人権法に基づき、統一省に北朝鮮人権記録保存所を開設。北朝鮮の人権蹂躙の実態に関する記録を集め、内外に発信すると決まった。
そこでどのような情報が蓄積・発信されるかを考えれば、韓国国民が金正恩体制をよりいっそう強く拒絶するであろうことは想像に難くない。
(参考記事:「まるで公開処刑が遠足のようだった」…北朝鮮「人権侵害」の実態)(参考記事:赤ん坊は犬のエサに投げ込まれた…北朝鮮「政治犯収容所」の実態)
つまり金正恩体制と朴槿恵政権は、互いに南北統一の可能性を放棄したも同然の状態なのだ。
しかしそもそも、たとえ経済成長のためであっても、韓国側がこれほどの人道犯罪に目をつぶり、金正恩体制との統一にまい進できたかは疑わしい。急がば回れ、という言葉もある。ここで金正恩体制の本質に目を向けておくことはかえって、北朝鮮の「次なる体制」との南北統一の可能性を、わずかにせよ高めるかも知れない。
(参考記事:金正恩氏が「暴走」をやめられない本当の理由)高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。