渇水と「70日戦闘」の悪影響で電気が止まっているのは両江道(リャンガンド)でも同じだ。しかし、ここではさらに状況が悪い。一部の農村では、90年代末の大飢饉「苦難の行軍」から今に至るまで、一切電気が供給されていないというのだ。
それは当局が「稲作にはポンプや脱穀機など電気が必要だが、両江道では気候的に稲作はできず、ジャガイモ、トウモロコシを栽培しているため電気は要らない」という理由を挙げて、90年代終わりごろから農村地域への電気の供給を完全に止めてしまったからだ。
送電設備は放置され、盗まれてしまった。変圧器にはアルミニウム、電線には銅や鉄が使われているからだ。盗まれなかったものもとても使える状態ではない。電力事情が改善したとしても、送電設備を復旧しなければならないため、電気が使えるような状態になるのは遙か先のことになるだろう。
北朝鮮、太陽光発電などの自然エネルギーの導入を国をあげて推進している。中国から送電設備を大量に輸入して、電力不足の解消を図ろうとしているが、今回の制裁強化で少なからぬ影響を与えることが予想される。