昨日、本欄で北朝鮮の外貨稼ぎの主力商品である石炭について、中国が3月1日から輸入をストップしたと書いたが、現地の様子が伝わってきた。平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋は「現在、中朝国境の新義州(シニジュ)の税関前では、石炭や精鋼を満載したトラックが立ち往生を余儀なくされている。中国の税関から輸入許可が出ないからだ」と明かした。また、ある外貨稼ぎ会社の幹部は、中国の貿易業者に「海上での石炭密輸」を持ちかけたが、けんもほろろに断られてしまったそうで、徐々に困惑が広がっているようだ。
(参考記事:中国、北朝鮮産石炭の輸入を全面停止…金正恩氏への不満につながる可能性も)このように国連の対北朝鮮制裁が強化されるなか、北朝鮮の庶民が「制裁不況」に戦々恐々としている。とりわけ、今回は上記のとおり中国が制裁に協調する姿勢を見せていることから、制裁強化が中朝貿易の停滞を招き、さらに自由市場を中心とする「草の根資本主義」経済を悪化させるかもしれない。そうなれば、庶民の生活が大打撃を受けるのは必至だ。
(参考記事:制裁が招く金正恩氏への反感と独裁体制への不信感)庶民達は石炭の輸出に限らず、制裁が経済の停滞を招きつつある現実に敏感に反応している。