自衛隊情報保全隊による国民監視の差し止めを東北地方の市民らが求めた訴訟の控訴審判決が2日、仙台高等裁判所であった。判決は、原告のうち1人について憲法が保障するプライバシー権を侵害したとして情報収集の違法性を認定し、一審に引き続き国に10万円の損害賠償を命じた。その一方、一審で勝訴した残り4人は逆転敗訴となり、差し止め請求も却下された。
情報保全隊とは、果たしてどのような集団なのだろうか。一般には聞きなれない名前だが、戦後史に関心のある向きなら、前身である「調査隊」のことは知っているのではなかろうか。
韓国中央情報部(KCIA)が日本で強行した「金大中拉致事件」に際し、KCIAからの依頼を受け、金大中氏の尾行や監視を行っていたのが調査隊関係者だった。
(参考記事:【対北情報戦の内幕】「金大中拉致」に加担した謎の防諜機関)現在では考えられないことだが、当時は政財界にわたる「日韓癒着」が様々な社会問題・国際問題の根となっていた時代であり、こうした結託関係が生じやすい環境があった。