一方、金正恩氏は露天商に対する規制や、思想面での統制は強めながらも、市場経済の拡大についてはある程度、認める方針をとっている。その背景には、以前は公権力に従順だった庶民たちが、金正日時代に比べても公然と反発するようになっている実態がある。
昨年6月には、取り締まりを行う保安員に対して商人たちが食って掛かり、死傷者が出るほどの大乱闘に発展した。
(参考記事:北朝鮮、商売人と警察の間で乱闘が発生 軍や秘密警察が派遣され鎮圧)北朝鮮で市場経済が拡大しているとはいえ、経済システムとしてはまだまだ未成熟である。商売ができなければ、「餓死の恐怖」に脅えなければならない。だからこそ北朝鮮の人々も、体を張って当局と闘っているのだ
当局も、こうした反発に配慮したのか、最近では強引な取り締まりではなく、市場を拡大して露天商をその枠内に引き入れようとしている。北朝鮮国内の複数の情報筋によると、当局は露天商を根絶するために、市、郡など全国で市場の面積を広げる指示を下した。