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ということはつまり、拉致事件が発生した当時の電波傍受の責任者は、警察官僚だったことになる。

しかし、仮にインテリジェンスに長けてはいても軍事に関しては“部外者”であったがために、「ノンアクション」を電波傍受のセオリーとする自衛隊、というよりその背後に控える米軍の意向を無視するわけにはいかなかった――このように想像するのは不自然だろうか。

米国が9・11同時多発テロを防ぐことができなかった最大の原因は、情報機関同士の錯綜した組織関係にあったといわれる。日本においてもインテリジェンス・コミュニティ内部の「壁」が、日本人拉致事件の多発を許したのかも知れない。 そして、視野を国際的な情報協力にまで広げて見れば、自衛隊がより高い「越えられぬ壁」にぶち当たっている現実が存在するのだ。(つづく

(取材・文/ジャーナリスト 三城隆)
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