「通信所の傍受員は、素人には雑音にしか聞こえないモールス信号、それも傍受を阻むため刻々と変わる周波数でやりとりされる通信を、蓄積されたデータとノウハウを駆使して捉える。そして、6つの通信所からの方位測定で、発信源を特定するんだ。 こうして相手の輪郭を描き出し、その意図を割り出してく手法が『通信分析』だ。暗号を解読しなくても、大抵のことはこの手法で解明できる」(自衛隊OB)
だが本当にそうならば、どうして北朝鮮による日本人拉致を防ぐことができなかったのか、との疑問が湧く。なぜなら拉致被害者の大半は、北朝鮮の工作船で連れ去られているのだから。
防衛上の「空白」
「電波傍受からの情報に基づいてアクションを起こせば、相手に傍受していると教えるようなもの。傍受されていると分かれば、相手は周波数や暗号を大きく変更する。そんなことをすれば、これまで蓄積してきたデータやノウハウが水の泡だ。だから電波傍受では“ノンアクション”がセオリーになっているんだ」(同)