韓国軍が北朝鮮の核実験への対抗措置として8日から再開した対北朝鮮拡声器放送について、北朝鮮国内では人民班の会議(町内会の会合)で「韓国の放送に騙されてはいけない」と思想教育を行っているという。

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によると、人民班の会議は18日夜に開かれた。会議では「韓国は放送を使って反北朝鮮宣伝を行っている。朴槿恵一味の反北朝鮮圧殺策動に騙されて、祖国と民族を裏切り脱北してはならない」などの内容が伝えられたという。

しかし、ただでさえ新年早々の堆肥戦闘(人糞集め)で疲れきっているところに、そういう話を聞かされた住民は不平不満を口にしている。

「疲れているのに呼びだされたので何事かと思った。韓国が放送をしていることも知らなかったのに、こんなことで呼び出すな」

「国境に鉄条網を張って壁を築いたというのに、念入りに脱北するなと言うなんて、何がそんなに不安なのか」

一方で、会議によって対北朝鮮放送を知り、「韓国が放送をしているとは知らなかったのに、ご丁寧にも教えてくれた」と興味津々の住民も多いう。会議が終わっても帰宅せず「どんな番組をやっているのか、中身も教えてくれたいいのに」と井戸端会議に花が咲いたという。

情報通なことから「タス通信」というアダ名で呼ばれているある住民は「中身を教えないということは、それだけやましい内容なのだろう」と当局を皮肉っていたという。

両江道は軍事境界線から数百キロ離れているので、どう頑張っても拡声器放送は聞こえない地域だ。人民班の会議で「韓国の放送」云々することは、拡声器放送ではなく、韓国のラジオ放送を直接受信することに対しての警告と思われるが、いずれにせよ逆に好奇心を煽ってしまう。

情報筋は「脱北するなという前に、脱北する気がなくなるように、暮らし向きをよくしてくれればいいだけのこと」「締め付け強化で息の詰まるような暮らしが続けば、むしろ脱北をする人が増えるだけ」と述べた。

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