北朝鮮の核実験を受けて、日米韓の外務次官協議が16日午後に東京都内で行われ、外務省の斎木事務次官、米国のブリンケン国務副長官、韓国外務省の林聖男(イム・ソンナム)第1次官が3時間余りにわたり話し合った。

そしてその結果、国連安全保障理事会で北朝鮮への有効な制裁措置を盛り込んだ新たな決議が採択されるよう、北朝鮮に強い影響力を持つ中国に積極的な関与を求めていくことで一致したという。

ショボい。あまりにもショボすぎる。これでは、日米韓には「打つ手がない」と北朝鮮に知らせたようなものだ。今にも金正恩氏の高笑いが聞こえてきそうだ。

6日に核実験が行われた当初は、日本のメディアは国連安保理がすぐにも過去最強の制裁決議を下すかのような報道ぶりだった。しかしフタを開けてみれば、中国はあくまで慎重姿勢だ。ロシアなどはあからさまに反対している。

そもそも、日米韓は仮に北朝鮮が核開発を放棄した場合、何かを見返りに与える気があるのだろうか。とくに日本は拉致問題が解決されない限り、北朝鮮への経済的支援など不可能だろう。米国に対しても、対北支援を思いとどまるよう強く求めるはずだ。

核開発に続き拉致問題も解決したとして、人権問題はどうするのだろうか。金正恩氏の「核の暴走」が加速する裏には、国際社会からの人権問題の追及がある。

そして、国連において北朝鮮の凄惨な人権侵害を暴いたのは、日米韓やEUなのだ。これらの国々は、北朝鮮が核開発をやめたら、政治犯収容所などで日々行われている蛮行を見逃すというのだろうか。

そんな展開になりそうもないことは、金正恩氏だってわかっている。だからこそ、ヤケクソ半分で「核のボタン」を押してしまうのだ。

日米韓がいま話し合うべきなのは、この現状をどのように変えて行くかということだが、筆者には、北朝鮮の「レジーム・チェンジ(体制変更)」以外にその方法が思いつかない。

そういえば、安倍晋三氏は首相になる前、「金正日政権のレジーム・チェンジも辞さない」と言っていたが、最近はすっかり言わなくなった。

この間、北朝鮮の核・ミサイル開発は着実に進展している。核開発が進むほどに、「レジーム・チェンジ」の圧力が弱まるのなら、それを止めようと金正恩氏が考えるはずもない。

構図として語るなら、安倍首相の「コケ脅し」が金正恩氏に跳ね返されたような形になってしまっている。

これまでにも言ってきたことだが、日米韓はいいかげん、北朝鮮を「追い詰めているフリ」など止めるべきなのだ。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記

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